画像はオンデマンド(本)版の表紙です
悲劇作品には、感情をゆさぶり泣かせるものと、何かもどかしい重苦しさを引きずるものとがある。「差別」問題に鋭く対峙して取り組んだこの作品は、大阪を舞台に日本社会の底辺に生きる「善良な」人たちのあいだにひそむ「差別」の心理や構造の奥襞に、虚飾なく分け入って描き出された、哀しくも緊張感みなぎる、1968年の「反差別文学」だ。「差別」問題を「世の中の問題」にしたいと願っていた著者の思いは、小説とともに自らの作品思想と、作品に対する批判を合わせ入れることで実現した。
オンデマンド(本)版
小田実全集 小説
『冷え物』
2011年2月刊行
2,700円(税別)
オンデマンド版の販売は2018年4月末日をもちまして終了しました。